俺のED話 #4 欲求あり着地点なし
初めての援助交際(の失敗)から1年以上が過ぎた。
変化の乏しい日々のセックスを繰り返すうちにトラウマもどこへやら、
俺はまた未知のセックス体験への欲望でムラムラし始めていた。
誤解して欲しくないのは
常に浮気なことばかりに気を取られていたわけでなく、
彼女と結婚する未来を足りない経験値なりに真面目に考えていたし、
日頃から彼女の不安感やコンプレックス、体調不良や強めのこだわりに寄り添うことを第一に行動していたつもり。
彼女との会話は楽しかった。ドライブも食事も楽しかった。
誰よりも俺の人格形成に影響を与えた人間であることは間違いない。
若干アスペルガー気質の俺に、彼女は良くも悪くも色んな感情を湧き出させた。
誰にも知られてないはずの気づかいを彼女だけが褒めてくれた。
誰にも話せなかった失敗でも彼女なら笑ってくれる。
出会ってから現在まで、尊敬も感謝もわずかな軽蔑も心からさせてもらっている。
それだけに抑えられないものも積もる。
彼女とのセックスでは解消できない欲求。
もちろんそれを彼女の前で顔に出してはいけない。
付き合い始めて5年近くなると興奮することもほとんどなくなり、
俺は自分を奮い立たせ勃起させようと努力し、射精しようと努力してはいた。
しかし現実は、5回に1回は勃起不全で挿入できず
勃起・挿入できても射精までいたらないことが頻繁になっていた。
たまにクルマの中でやったり、鏡張りのラブホでやったり、
デジカメでハメ撮りの真似しながらやったりしたときは
普通に興奮してしっかりセックスできた。
彼女が興奮してくれれば俺も興奮した。
でも彼女は「一度興奮したシチュエーション」に対して距離をおきたい、という性格だった。
セックスに対して感想を言うこと・聞くことは基本的にタブーだったし、
以前に興奮したシチュエーションでも、二度目には意地でも興奮している素振りは見せず、そのプレイに誘う俺を冷笑するような態度をとった。
俺がセックスに対して新たな希望を見つけるたびに、彼女がその扉に鍵をかけるという繰り返しだった。
俺はこういうセックス相手とだけしか経験せずに残りの人生を過ごすのか。
それとも俺が変態的に強い性欲に囚われてしまっている病人なのか。
どちらにせよ、
セックスをすることに興奮し
それを相手と共有しながらセックスをし
そのことを二人で語り合えるような関係には、
彼女とは一生なれないんだな。
当時25歳の俺が具体的に結婚を考えるということは、
セックスに対して希望を持てない相手と夫婦になるという現実を受け止めなければならない作業でもあった。
そして煩悶する俺は再び、有るはずもない答えを外界に求めてしまう。